社会インフラ維持管理が進まなかった理由?

「社会的割引率4%」という見えない壁 ― 技術士試験の論点としても注目

こんにちは。
技術士ライトハウスの森です。

最近、国会で非常に興味深い議論がありました。

2026年3月10日に行われた衆議院予算委員会の中央公聴会において、元財務官僚で経済学者の高橋洋一教授が、日本の公共投資やインフラ更新が進まなかった背景として、「社会的割引率4%」の問題に言及しました。

(私は、数年前から高橋洋一チャンネル(YouTube)を拝聴させて頂いています。このチャンネルの中でも何度も本件について言及されていました。)

この議論は、社会インフラの維持管理を考えるうえで重要な視点であり、技術士第二次試験の論文の切り口としても非常に面白いテーマです。

その様子は以下の動画で確認できます。

▼高橋洋一教授の発言(中央公聴会)
https://www.youtube.com/watch?v=k7M2LBx3djc

今回はこの話題を整理してみます。このブログをご覧の皆様の中にも、実務にて新規事業等の事業効果分析を行った方も少なくないかと思います。


社会的割引率とは何か

まず基本から整理しましょう。

社会的割引率(Social Discount Rate)とは、

公共事業の将来便益を現在価値に換算する際に用いる割引率

です。

公共事業は、

  • 建設時:コストが発生
  • 供用後:長期にわたり便益が発生

という特徴があります。

例えば、

  • 道路
  • 下水道
  • 鉄道

などは、数十年にわたり便益を生み続ける資産です。

その将来の便益を現在価値に割り引く際に使うのが社会的割引率です。


社会的割引率が高いとどうなるか

ここが重要なポイントです。

割引率が高いほど、

将来の便益が小さく評価されます。

例えば
20年後に100億円の便益がある場合

割引率現在価値
4%約45億円
2.5%約61億円

つまり、

割引率が高いほど公共事業の費用対効果は悪く見える

という構造になります。

結果として

  • 事業が採択されない
  • 更新投資が先送りされる

という現象が起こります。


高橋洋一教授の指摘

高橋教授は国会の公聴会で、

  • 日本の社会的割引率は長年4%のまま
  • これは現在の低金利環境に比べて高すぎる
  • 2〜2.5%程度が妥当

という趣旨の発言をしています。

もし割引率を引き下げれば、

  • これまで採算が合わないとされた事業
  • 老朽インフラ更新

などが費用便益分析で成立する可能性が高まると指摘されています。


日本のインフラ更新問題との関係

日本では現在、

  • 高度経済成長期のインフラが一斉に老朽化
  • 更新費用は年間数兆円規模

と言われています。

しかし、

  • 財政制約
  • 費用便益分析

などを理由に

更新投資が遅れてきた側面があります。

ここに、

社会的割引率という制度的な前提

が関係していた可能性があるわけです。


技術士第二次試験の論点としての面白さ

このテーマは、実は

技術士二次試験の筆記試験において、解決策等の切り口の一つとして使えるかなと思います。

一方で、このネタが主になってしまうと、技術士として偏りすぎとなるかも知れませんので、バランスよく盛り込めると良いかなと思います。