今回も、技術士第二次試験 総合技術監理部門の択一式 平成30年度の過去問を見ていきたいと思います。
社会環境管理 環境経済評価からの出題です。青本(P192)には記載があるのですが、総合技術監理部門の技術体系(キーワード)についてには記載がないようです。
表明選好型評価の専門知識が有れば正答できるのですが、それがない場合どうアプローチするかを見ていきたいと思います。
①・・・よく分からない。
②・・・よく分からない。
③・・・インターネットアンケートは調査期間は短くてすみそうだけど、標本数確保が容易といえるのか?
④・・・受入補償額よりも支払意思額のほうが答えやすいのでは?
⑤・・・プレテストを行うことは適切そう。ただ、調査対象を明確にするために、アンケート草案→プレテスト→事前調査という手順は合っているのか?
以上により、選択肢を①と②に絞ることができます。
→正答は②となります。
仮想的市場評価法(CVM)適用の指針 (H21.7 国土交通省)にて正答が確認できます。
P1に、「仮想評価法(CVM;Contingent Valuation Method)は、アンケート調査を用いて人々に支払意思額(WTP)等を尋ねることで、市場で取り引きされていない財(効果)の価値を計測する手法」とあります。
P16に、「二項選択方式(dichotomous choice) ある一つの金額が提示され、回答者はその支払意思の有無を「はい」または「いいえ」で 回答するという方式である」とあり、金額の回答方式といえます。
P11の表に、インターネット調査の長所・短所が書かれており、「調査範囲が狭い場合や、人口が少ない地域では標本数の確保が難しい」とあります。
P12に、「金額を尋ねる方法には、支払意思額を尋ねる方法と受入補償額を尋ねる方法がある。一般的に、人々は満足度が高まるものに対して支払う行為にはなじみがあるが、満足度が低下するものに対して補償を求める行為にはなじみがない。また、既存の研究において、受入補償額は支払意思額より大きな値になりがちであるという指摘がなされている。そのため、回答者の答えやすさに配慮するとともに、便益の過大推計を避けるため、CVM で金額を尋ねる際には、受入補償額ではなく支払意思額を用いる必要がある」とあります。
P27に、「プレテストとは、CVM の本調査を実施する前に行う調査のことである。 CVM の本調査の実施に当たっては、 「3.4 仮想的状況の設定」に示しているように、調査票に示されている仮想的状況が、回答者にとって分かりやすいものになっているかどうかを 確認する必要がある」とあり、調査対象を明確にするために行うものではありません。