技術士第二次試験の出願にあたり、受験者はご自身の実務経験の棚卸しをして、5つの経歴にまとめ、そのうちの1つについて業務内容の詳細を720字以内で書くことになります。
先週、ある受講者様の業務内容の詳細案について添削・アドバイスをさせて頂きました。
その方は、とある構造物の耐震性能照査の業務について書かれていまして、評価できる点も多々ありましたが、3点ほど気になるところがありまして、以下のようなアドバイスさせて頂きました。
1 専門用語をびっしり使って照査手順を列記している
試験官は受験される部門・科目の技術士であることがほとんどですが、専門とする事項が異なる場合も少なくありません。専門用語がたくさん羅列されると、試験官がストレスを感じ、概要を掴みきれず、十分な理解・評価が得られない恐れがあります。
業務全体を少し俯瞰的にとらえ、専門外の人が読んでも理解できるよう、多少平易な表現を盛り込むようにすると良いです。試験官は限られた時間で、大量の業務経歴表に目を通さなければなりません。斜め読みであっても理解してもらえるよう、受験者側で試験官に配慮する余裕があると良いと思います。
2 問題は「照査に時間がかかりすぎてしまう」ことなのだが、解決策に「時間をどう短縮したのか」が書かれていない
業務内容の詳細の構成はさまざまだと思いますが、例えば、
①業務概要→②立場・役割→③業務実施の問題→④問題解決のための課題設定(問題解決策の方向性)→⑤課題遂行のための方策→⑥評価
といった流れで書くとして、
③問題は「履行期間が足りない」ことなのに、⑤課題遂行のための方策が「品質を確保する、コストを低減する」方策になっていると、論理(ロジック)が飛躍・破綻していることになります。
※厳密にいうと恐らく、「品質を確保するには履行期間が足りない」「履行期間を遵守するには追加コストがかかる」ということなのですが、ご自身の頭の中では整合していても、そのことが文章に表現できていない場合がままあるということです。
基本的だと思えることですが、意外と盲点ですので、留意してください。
3 業務の概要(意義、背景等)の情報がほとんど書かれていない
ご自身が担当された業務なので、当然ご自身は業務概要を十分に理解されているのですが、試験官は初見の上、720字という文字情報だけ(図面や写真情報なし)しか受け取れません。
口頭試験で補足説明できますが、口頭試験前時点で試験官が業務概要を概ね理解できるように配慮して書けるとより良いです。
また、意義や背景に加えて、受発注者・利害関係者についても少し書けると、(技術士の資質能力として求められている)リーダーシップやコミュニケーション、マネジメントについても書きやすくなると思います。
相手(=試験官)の立場に立って考えてみることも、合格するために大変有効だと思います^-^
今回は以上です。少しでもお役に立てれば幸いです。