前回に引き続き、『総合技術監理 キーワード集 2019』 を読んでいきたいと思います。
今回は第1章 総合技術監理 総合技術監理が必要とされる背景 です。
1.総合技術監理
総合技術監理が必要とされる背景科学技術による様々な成果は日々の生活の中に浸透し,人々はその豊かさ,便利さを享受している。しかし科学技術そのものは巨大化・総合化・複雑化が進展しており,その発達を個別の技術開発や技術改善のみによって推進することは難しい状況になりつつある。つまり,科学技術を発展させるのは一部の専門家の努力だけでは難しく,企業や研究機関などの組織活動が技術の有効性を発揮するための大きな基盤となってきているのである。また,それに伴って事故や環境汚染が生じた場合の社会への影響も,従来に比して遥かに大きなものとなってきている。
一例として,科学技術業務の結果として産み出される製造物・製品を考えてみよう。 近年の製造物・製品の多くは,その概念が想起されても直ぐには具現化できず,工夫や試行錯誤の結果ようやく具現化されても,初期段階では高価であるとか,品質を保持できないとか,安全性に問題があるなど,様々な不安定要素を内包する。その後,時間をかけて技術的な努力を積み上げ,品質の向上やコストの低減を図っていくことによって, ようやく一般の人々が広く利用できる優れた製造物や製品にまで仕上がるのである。
『総合技術監理 キーワード集 2019』
最初の段落に、総監が必要とされる背景がずばり書かれています。とても大事なところです。
科学技術による成果・メリット(正の側面) → 科学技術を取り巻く現状 → 科学技術のデメリット(負の側面)が順に述べられています。つまり、「科学技術というものは巨大化・総合化・複雑化してきており、もはや個別の技術では太刀打ちできなくなっている。うまく行けば大きなメリットを享受できるが、同時に大きなデメリットをもたらすリスクも秘めている」ということですね。
第2段落では、一例が示されています。皆さんも何か例を思い浮かべてみてください。私は自動運転車を思い浮かべました^-^
ちなみに、後に出てくる5つの管理の視点も示されています(経済性管理(品質、コスト、納期)、安全管理が例示されています)。
ご自身の業務をあてはめて考えてみてください。まずはぼんやりとイメージするだけで十分です。
続きは次回解説させて頂きます。どうぞお楽しみに!