総合技術監理部門 過去問解説 安全管理 リスクマネジメント~必須科目(択一式)H30-Ⅰ-1-25

今回も、技術士第二次試験 総合技術監理部門の択一式 平成30年度の過去問を見ていきたいと思います。


平成30年度技術士第二次試験 総合技術監理部門 必須科目(択一式)

安全管理 リスクマネジメント からの出題ですね。

不適切なものを選ぶ問題です。まず選択肢を眺めてみましょう。

③④⑤は、一般常識から想像してみて、適切だと判断しやすいと思います。

①についても、青本P134の4行目にこのままズバリ書かれていて、適切だと思えます。※しかし、JIS Q 31000の用語の定義によると、「目的に対する不確かさの影響」とあります。また、注記4にも「ある事象(周辺状況の変化を含む。)の結果とその発生の起こりやすさ(2.19)との組合せとして表現されることが多い。」とありまして、リスクには、好ましいものも好ましくないものも含まれるということですね。青本(のみ)でしっかり勉強した方は、①を早々に除外したかも知れません。。。

②は、リスク対応としていろいろ書かれていて、①を除外してしまうと、②に飛びついてしまいそうです。

→正答は①となります。

 

※この問題は、青本の情報が古いことを痛感させられる問題といえますね。青本をお持ちの方は参考にしつつも、時点更新の確認をすることが重要です。

 

以下、ご参考までご覧下さい。

JIS Q 31000の用語の定義(解答に関するところをのみを抜粋)

2.1 

リスク(risk)

目的に対する不確かさの影響。

注記 1  影響とは,期待されていることから,好ましい方向及び/又は好ましくない方向にかい(乖)離することをいう。

注記 2  目的は,例えば,財務,安全衛生,環境に関する到達目標など,異なった側面があり,戦略,組織全体,プロジェクト,製品,プロセスなど,異なったレベルで設定されることがある。

注記 3  リスクは,起こり得る事象(2.17),結果(2.18)又はこれらの組合せについて述べることによって,その特徴を記述することが多い。

注記 4  リスクは,ある事象(周辺状況の変化を含む。)の結果とその発生の起こりやすさ(2.19)との組合せとして表現されることが多い。

注記 5  不確かさとは,事象,その結果又はその起こりやすさに関する,情報,理解又は知識が,たとえ部分的にでも欠落している状態をいう。

 

2.2 

リスクマネジメント(risk management)

リスク(2.1)について,組織を指揮統制するための調整された活動

 

(中略)

2.14 

リスクアセスメント(risk assessment)

リスク特定(2.15),リスク分析(2.21)及びリスク評価(2.24)のプロセス全体。

 

(中略)

 

2.25 

リスク対応(risk treatment)

リスク(2.1)を修正するプロセス。

注記 1  リスク対応には,次の事項を含むことがある。

−  リスクを生じさせる活動を,開始又は継続しないと決定することによって,リスクを回避すること。

−  ある機会を追求するために,リスクを取る又は増加させること。

−  リスク源(2.16)を除去すること。

−  起こりやすさ(2.19)を変えること。

−  結果(2.18)を変えること。

−  一つ以上の他者とリスクを共有すること(契約及びリスクファイナンシングを含む。)。

−  情報に基づいた意思決定によって,リスクを保有すること。

注記 2  好ましくない結果に対処するリスク対応は, リスク軽減 , リスク排除 , リスク予防 及びリスク低減

と呼ばれることがある。

注記 3  リスク対応が,新たなリスクを生み出したり,既存のリスクを修正したりすることがある。

 

Image by Jerry Kimbrell from Pixabay