今回も、技術士第二次試験 総合技術監理部門の択一式 平成30年度の過去問を見ていきたいと思います。
安全管理 からの出題です。
消防法の概要が理解できていれば正答できますが、そうでない場合どうするか?といった視点で選択肢をみていきたいと思います。
まず1巡目として、
①・・・適切そう。
②・・・届け出の必要がないといったところが不適切な感じ。
③・・・自然災害は対象外であるといったところが不適切な感じ。災害の種類によって責務等を分けることは非効率ですし非現実的。
④・・・大卒・高専卒であれば誰でもなれるというのは不適切な感じ。
⑤・・・統括防火管理者の専任が好ましい、というのは微妙な感じ。「好ましい」ではなく「すべき」かもしれないし、異なる管理者の専任かもしれない。
ということで、①と⑤に絞られます。
2巡目として、①と⑤を比較検証してみます。
①・・・やはり適切そう。⑤に比べると明確。
⑤・・・多数の人が利用し、管理権原者が複数となっている大規模・高層だと、個々の防火管理者が定められていても、全体を統括する人がいないと被災時に大混乱となってしまう。好ましいではなく、必須。若しくは別名の管理者ではないか。
ということで、①と⑤を比較してみると、①のほうがより適切といえます。
→正答は①です。
ちなみに、①は消防法8条、⑤は同法8条の2に定められていますね。以下に消防法の抜粋をお示ししますので、ご参照下さい。
消防法(抜粋)
消防法(e-Gov)
第八条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
○2 前項の権原を有する者は、同項の規定により防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
○3 消防長又は消防署長は、第一項の防火管理者が定められていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により防火管理者を定めるべきことを命ずることができる。
○4 消防長又は消防署長は、第一項の規定により同項の防火対象物について同項の防火管理者の行うべき防火管理上必要な業務が法令の規定又は同項の消防計画に従つて行われていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、当該業務が当該法令の規定又は消防計画に従つて行われるように必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
○5 第五条第三項及び第四項の規定は、前二項の規定による命令について準用する。
第八条の二 高層建築物(高さ三十一メートルを超える建築物をいう。第八条の三第一項において同じ。)その他政令で定める防火対象物で、その管理について権原が分かれているもの又は地下街(地下の工作物内に設けられた店舗、事務所その他これらに類する施設で、連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたものをいう。以下同じ。)でその管理について権原が分かれているもののうち消防長若しくは消防署長が指定するものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちからこれらの防火対象物の全体について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者(以下この条において「統括防火管理者」という。)を協議して定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物の全体についての消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理その他当該防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
○2 統括防火管理者は、前項の規定により同項の防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行う場合において必要があると認めるときは、同項の権原を有する者が前条第一項の規定によりその権原に属する当該防火対象物の部分ごとに定めた同項の防火管理者に対し、当該業務の実施のために必要な措置を講ずることを指示することができる。
○3 前条第一項の規定により前項に規定する防火管理者が作成する消防計画は、第一項の規定により統括防火管理者が作成する防火対象物の全体についての消防計画に適合するものでなければならない。
○4 第一項の権原を有する者は、同項の規定により統括防火管理者を定めたときは、遅滞なく、その旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
○5 消防長又は消防署長は、第一項の防火対象物について統括防火管理者が定められていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により統括防火管理者を定めるべきことを命ずることができる。
○6 消防長又は消防署長は、第一項の規定により同項の防火対象物の全体について統括防火管理者の行うべき防火管理上必要な業務が法令の規定又は同項の消防計画に従つて行われていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、当該業務が当該法令の規定又は同項の消防計画に従つて行われるように必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
○7 第五条第三項及び第四項の規定は、前二項の規定による命令について準用する。