今回も、技術士第二次試験 総合技術監理部門の択一式 平成30年度の過去問を見ていきたいと思います。
問題を解く上で、必要な情報について少し触れておきます。
NPV(Net Present Value)は、正味現在価値のことで、投資によって得られる利益を示す指標です。
PV(Present Value)は、現在価値・割引現在価値のことで、将来獲得するお金の現時点における価値です。将来受け取れるお金を現在価値に換算するといくらになるかを示します。
NPV(正味現在価値) = PV(現在価値) - 投資額
PV(現在価値) = 将来受け取れる金額 / (1 + 利率・割引率)^n年後
問題文のプロジェクトを下表にまとめてみました。
(単位:万円)
0年目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | ||
①当初 | 支出 | -1500 | |||||
収入 | 400 | 400 | 400 | 400 | 400 | ||
②検討 | 支出 | -1500 | -300 | ||||
収入 | 400 | 400 | 400+X | 400+X | 400+X |
①のPV=400/1.03+400/(1.03)^2+400/(1.03)^3+400/(1.03)^5+400/(1.03)^5
②のPV=400/1.03+400/(1.03)^2+(400+X)/(1.03)^3+(400+X)/(1.03)^5+(400+X)/(1.03)^5
①の投資額=1500
②の投資額=1500+300/(1.03)^3
となり、
①のNPV=PV-投資額=400/1.03+400/(1.03)^2+400/(1.03)^3+400/(1.03)^5+400/(1.03)^5-1500
②のNPV=PV-投資額=400/1.03+400/(1.03)^2+(400+X)/(1.03)^3+(400+X)/(1.03)^5+(400+X)/(1.03)^5-(1500+300/(1.03)^3)
となります。
問題文より、①のNPV=②のNPVとなるときのXの値を求めます。両方に共通して入っている項を差し引くと、
400/1.03+400/(1.03)^2+400/(1.03)^3+400/(1.03)^5+400/(1.03)^5-1500=400/1.03+400/(1.03)^2+(400+X)/(1.03)^3+(400+X)/(1.03)^5+(400+X)/(1.03)^5-(1500+300/(1.03)^3)
となり、両辺共通の項を削除します。
400/(1.03)^3+400/(1.03)^5+400/(1.03)^5-1500=(400+X)/(1.03)^3+(400+X)/(1.03)^5+(400+X)/(1.03)^5-(1500+300/(1.03)^3)
これを丹念に解いていくと、X=106.0591となります。最も近いものは③となります。
若しくは、追加投資のケースの3年目以降だけを抜き出して、3年目を現在と捉えて、3年目以降のNPVが0となるXを出す方法もあります。
これだとかなり速いですね。NPV=PVー投資額= x/1.03 + x/(1.03)^2 + x/(1.03)^3-300 = 0
皆さんはこの問題を解きますか?^^; 乗数の暗算が得意な人は素早く解いて次の問題に行けるかも知れませんね。
本番では電卓やエクセルなしで計算しなければなりません。正しい式を導けても計算ミスする可能性もありますし、○年目の取り方をミスしてしまう可能性もあります。
合格するには60%正答すれば良いので、戦略としてはひとまず解かず、最後に時間が余ったら解くようにしましょう。
解ける問題を先に選んで、60%以上を早めに確保しましょう!