これから筆記試験の解説を行いたいと思います。今回は平成30年度の選択問題Ⅱ-1-1を見ていきましょう。
選択科目Ⅱ-1では、「選択科目」についての専門知識に関するものが出題されます。受験申込案内P7には以下のとおり記されております。
概念 | 「選択科目」における専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識。 |
出題内容 | 「選択科目」における重要なキーワードや新技術等に対する専門知識を問う。 |
評価項目 | 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、コミュニケーションの各項目 |
押さえるキーワードは、
・市街化区域
・市街化調整区域
・区域区分
・都市計画法(8,11,33,34条)
の4つですね。
以下に、論文骨子例を示します。
ボリューム目安 | 問われている項目 | 論文骨子例 |
6行 | 市街化区域の説明 |
既に市街地を形成している区域及び概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域 用途地域を定める |
6行 | 市街化調整区域の説明 |
市街化を抑制すべき区域 原則として用途地域を定めず、開発行為も原則として許可されない |
8行 | 区域区分の目的 | 市街化区域と市街化調整区域に区分することで、無秩序な市街化を防ぎ、計画的な市街化を図る |
8行 | 区域区分の法律上の効果 |
市街化区域内 都市計画法第8条→用途地域が定められることにより、無秩序な用途の混在の防止等土地利用の計画的誘導を図る 都市計画法11条→都市施設(道路、公園、下水道等)が定められることにより、効率的な公共投資が行われる。 都市計画法33条→基準に適合していれば開発行為は許可される 市街化調整区域 都市計画法34条→原則として開発行為は制限される |
以上のとおり書ければ、十分にA判定が得られると思いますが、いきなり、市街化区域と市街化調整区域の説明が脈絡もなく始まってしまうよりは、
例えば、冒頭に、
「都市計画区域内において、区域区分によって市街化区域と市街化調整区域に分けられる。」といった説明を加えることで、体系的な専門的学識をアピールすることができ、論文がより論理的となり読みやすくなります。数多くの論文の中で、キラリと光る論文(確実にA判定)となることでしょう。
とはいえ、意識しすぎて、題意に沿わないことや問われていないことを書きすぎてしまうと、逆にA判定から遠ざかったしまいますので気をつけましょう。
Ⅱ-1は専門知識が問われますので、地道なキーワード学習が望まれます。まずはご自身の好きな分野や得意分野から始めて、ノートやカードに図表を入れながら整理していくと良いです。ノートやカードを持ち歩いて隙間時間で眺めると良いです。学習を深める中でどんどん追記していけるようにするとより良いです。
都市計画法については、一通り目を通して、どんな条文があるかを押さえると良いです。
区域区分をはじめ、地域地区(用途地域等)は文言で暗記するのではなく、イメージで覚えると、頭に残りやすいと思います。国交省HP(都市計画制度の概要)に図解等がたくさん入った資料が公表されていますので、試験勉強に有効活用してみてください。