今回は、建設部門-都市及び地方計画 平成30年度の選択問題Ⅲ-1を見ていきます。
この問題は都市及び地方計画のど真ん中といった感じですね。空き地・空き家、立地適正化計画、コンパクトシティ、都市のスポンジ化といったキーワードはしっかり押さえて、自分の言葉で(背景、現状、問題、課題、対応策、留意点等)説明できるようになるとA判定がどんどん確実になってきます^-^
また、選択科目Ⅲは問題解決能力と課題遂行能力を試す問題であり、資質能力としては(専門的学識、問題解決、コミュニケーションに加えて)評価が求められますので、選択科目Ⅱとの違いを意識することが重要です。
選択科目Ⅱ-2と同様、論文構成(骨子)の作成に25分程度をかけると良いです。
まず問題文をしっかり読んで、与条件や問われていることを確認してください。
与条件
・都市のスポンジ化が進行している都市
・担当責任者の立場で書く
問われていること
(1)都市のスポンジ化の背景と課題※
※昨年度までは「課題解決能力」でしたが、今年度は「問題解決能力」「課題遂行能力」となっていますので、過去問を解くときは「課題」=「問題」(解決すべき事柄)と捉えると良いです。
(2)立地適正化計画の実現のために必要な複数の取組
(3)(2)を実施するために考慮すべき事項※と対応方策
※考慮すべき事項については、例えば、その取組がうまく行かない可能性に着目すると書きやすいかと思います。
となります。
問題文を熟読した後は、問われていることを表にして、25分前後をかけて論文構成(骨子)を作成しましょう。
作成した後は、題意に沿っているか、(1)⇔(2)⇔(3)の間の論理性整合(ロジック)を入念にチェックします。これが終わってから、論文を書き始めてください。
インプットが不足していると思われる場合は、以下のURLを参考にしても良いです。
都市計画基本問題小委員会 中間とりまとめ 「都市のスポンジ化」への対応
経済学の視点からいいますと、空き家・空き地は放置しておくと、外部不経済が生じ、市場に任せておくことができないため、公共(行政)が何らかの手をうつ必要がありますね。
以下に論文構成(骨子)の一例を示します。
(1)-1 背景 |
人口減少・少子高齢化による世帯数の減少→住宅需要の低下 宅地化された土地・建物の総量に対して、絶対的な需要不足という構造的問題 これまで行政は、民間による開発・建築行為を待って規制等により受動的に関与をしてきた 。 低未利用地は土地形状や用途規制等に係る制約があり、潜在的需要があったとしても、これらを改変するために時間を要したり、情報のマッチングが得られないことから、需要をタイムリーに受け入れきれないケースが多い。 |
(1)-2 課題 |
空き地・空き家には保有コストがかかる。 まちの活気が失われる。 不法投棄や管理放棄による衛生環境悪化、治安・景観・居住環境悪化が進行する。 空き家の多くが旧耐震基準で建築されている。 |
(2)取組 |
①低未利用地に係るタイムリーな情報提供および権利者と利用希望者とのマッチング機能の提供 (低未利用地土地権利設定等促進計画) ②官民連携・地域との連携による低未利用地利活用の仕組みづくり (立地誘導促進施設協定(コモンズ協定)) ③土地区画整理事業の導入 現状のままだと利活用が困難な空き地・空き家がある場合に家屋移転や敷地整序を行うことができる。 |
(3)考慮事項・対応方策 |
①低未利用地に係るタイムリーな情報を掴んでいない。また利用希望者のみに利活用を委ねていると部分最適な土地利用となってしまう恐れがある。 →低未利用地に係る土地・建物の需要動向調査を踏まえて、低未利用地エリアの将来ビジョンを公表する。 →空き地・空き屋での暫定利用に係る社会実験を行い、民間事業者等に参画してもらう。 ③権利者の意向がばらばらで合意形成に時間を要する。小規模宅地権利者が多いと、減歩に対する抵抗感が強い。 →柔らかい土地区画整理事業の導入を行う。具体的には、柔軟な区域設定、減歩率を抑えた土地利用計画、優先順位をつけた段階的な区画整理を行う。 |
今年度(令和元年度)は、選択科目Ⅱと選択科目Ⅲとの間に休憩(切れ目)がないため、タイムマネジメント(予め時間配分を決めておくこと)や集中力対策(1本論文を書き上げたら、少しリフレッシュタイムを設ける等)が大切ですね。