技術士 総合技術監理部門 過去問解説 社会環境管理 景観法 ~必須科目(択一式)H29-1-37

今回も、技術士第二次試験 総合技術監理部門 択一式H29過去問を見ていきます。


平成29年度技術士第二次試験 総合技術監理部門 必須科目(択一式)

社会環境管理からの出題です。

建設部門(都市及び地方計画)の人に有利な問題といえますが、一般的な知識から選択肢を絞り込むことは可能と考えられます。

選択肢を一つずつ見ていきたいと思います。

①・・・前半はもっともだが、景観の定義をしていないというところが気になりますね。

②・・・都道府県は策定の役割がないと言い切っているところが気になりますね。

③・・・景観行政団体の裁量を認めていないところに違和感ありますね。

④・・・条例により手続付加はよく見られますが、手続簡素化は違和感ありますね。

⑤・・・所有者の自発的取組を促す、色彩や形状に係る明示的内容を極力避ける、といったところは違和感ありますね。

これにより、明らかな正答を導くことは困難ながら、③~⑤は除外でき、①②に絞ることができます。

以降の絞り込みは、景観法の知識がないと難しいですが、正答は①となります。

以下に、景観法運用方針をご紹介します。①②に関する箇所にマーキングをしています。

Ⅲ 基本理念
基本理念は、良好な景観の形成を図るための基本的な考え方を示したものである。

(中略)

 なお、法には「景観」について特段の定義を置いていないが、これは、すでに他法令上特段の定義がなく用いられている用語であること、また、良好な景観は地域ごとに異なるものであり、統一的な定義を置くと結果的 に画一的な景観を生むおそれがあること等によるものである。

Ⅳ 景観法の運用に当たっての基本的考え方
1 景観行政団体
(1) 基本的考え方

法においては、地域における景観行政を担う主体として、「景観行政団体」という概念を設けている。
良好な景観の形成は、居住環境の向上等住民の生活に密接に関係する課題であること、地域の特色に応じたきめ細かな規制誘導方策が有効であることから、基礎的自治体である市町村が中心的な役割を担うことが望ましい。
しかしながら、これまでの景観行政が、都道府県、市町村それぞれの自主的な条例に基づいて行われてきたという実態を踏まえ、都道府県、市町村ともに景観行政を担い得るとした上で、同一の行政区域について、都道府県及び市町村が重複して行政を行う事態を避けるために、そのいずれかが景観行政団体として、景観行政を一元的に担うこととしたものである。具体的には、指定都市(地方自治法第252条の19第1項)又は中核市(同法第252条の22第1項)の区域については、それぞれ当該指定都市又は当該中核市が景観行政団体として、その他の市町村の区域については、市町村が都道府県と協議した上で、景観行政団体として景観行政事務(法第2章第1節から第4節まで、第4章及び第5章の規定に基づく事務)を処理することができることとしている。都道府県は、これらの市町村の区域以外の区域について景観行政団体として景観行政事務を処理することとなるものである。

景 観 法 運 用 指 針 (国土交通省HP)