マネジメントとは?~技術士第二次試験 総監以外の部門~

今回は、技術士として求められる実務能力のうち、「マネジメント」について解説させて頂きます。

マネジメントについても、口頭試験で問われる実務能力の1つです。

平成31(2019)年度 技術士試験の概要につい

 https://www.engineer.or.jp/c_topics/005/attached/attach_5698_1.pdf

には以下のとおり書かれております。

マネジメント

・業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性とリス ク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サービス等)に係 る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的とし て,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。

総合技術監理部門で求められているマネジメント能力を総監以外の一般部門(20部門)でも求められているといえますね。全てを網羅的にマネジメント、となるとハードルが高く感じてしまいますし、あまり追求しすぎると、総合技術監理部門そのものになってしまいます。

ご自身が主に実践されたマネジメント内容を(業務経歴表および業務内容の詳細に)1つや2つでも良いので、端的に表現できれば十分だと思います。

また、修習技術者のための修習ガイドブックー第3版ー(平成27年1月) https://www.engineer.or.jp/c_topics/003/attached/attach_3637_1.pdf
には以下のとおり書かれております。

3.2.4 技術業務のマネジメント

業務は、一般に定常業務(継続性と反復性がある業務)とプロジェクト(成果物などに独自性があり、開始と終結の明確な期限がある業務)に分けられる。技術業務には、定常業務もあるがプロジェクトとして取上げられることが多いことからプロジェクトにおけるマネジメントについて述べる。

プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの立上げ、マネジメント計画、実行、 監視・コントロール、終結の 5 つの流れ(プロセス)において遂行される。この各プロセスは複数の知識エリアから成立ち、その知識エリアにて活動することにより独自性がある成果物が生み出される。

プロジェクトマネジメントの例として、代表的なものに米国のプロジェクトマネジメント協会 PMI (Project Management Institute)の PMBOK(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)があり、特に知っておくと良い知識として 10 の知識エリアがある。PMBOK 第 5 版の知識エリアの概要[4]を表-3.4 に示す。

表-3.4 PMBOK 第 5 版の知識エリアの概要

№  知識エリア 概要 説明
1 統合マネジメント  プロジェクトの立上げ、 計画、実行、監視・コントロール、終結のプロセスをマネジメントする。 プロジェクト立上げ時に、目的、費用や成 果物を文書で確認して、マネジメント計画 の作成、実行、監視・コントロール、およ び終結プロセスをマネジメントする。
2 スコープ・マネジメント  何をどの範囲まで実施するかをマネジメントする。
プロジェクトの遂行範囲の確認、暗黙や曖 昧な要件の確認、リスクをマネジメントす る。
3 タイム・マネジメント  遂行事象(作業)のスケ ジュールをマネジメントする。 作業の詳細化、詳細作業の順序立て、期間 の見積り、スケジュール作成の方法、リス クをマネジメントする。
4 コスト・マネジメント  全てのコストをマネジメントする。 必要な要員や資材(含む機器)などの資源 を洗い出して予算化、予算実績から未来コ ストの予測、リスクをマネジメントする。
5 品質マネジメント  要求事項と成果物にお ける品質の一致をマネ ジメントする。 要求事項、成果物およびコストから品質の 設定、品質マネジメント計画、および品質 保証・コントロールをマネジメントする。
6 人的資源マネジメント  必要な要員の設定、手配、教育、要員リリースをマネジメントする。 必要な要員の調査および設定、調達手配、 外部教育手配、自主教育、チーム構築、要 員のリリース時期をマネジメントする。
7 コミュニケーション・マ ネジメント 情報の伝達先、タイミン グ、手段方法をマネジメ ントする。 情報の種類(含む報告書)、伝達先、取得先、 伝達手段および方法、タイミングの計画作成、コントロールをマネジメントする。
8 リスク・マネジメント  リスクの特定、定量化、 分析、対策検討、対策を マネジメントする。 スコープ・タイム・コスト、および他のマ ネジメントからのリスクを特定し、定量 化、分析、対策検討、対策をマネジメント する。
9 調達マネジメント  必要な要員、資材や加工 の引合、選定、契約、発 注、終結をマネジメントする。 人的資源からの要員、資材調達、および外 部加工依頼に基づき引合案内、選定、契約 締結、発注、終結をマネジメントする。
10 ステークホルダー・マネ ジメント 利害関係者を特定し、プ ロジェクトへの関わりの度合いをマネジメン トする。 利害関係者を特定し、目標や方向性を共感 して、愛着心や絆などの関わりの度合いを マネジメントする。

上表を多少なりとも理解することで、技術士に求められるマネジメント能力を具体的にイメージできるのではないでしょうか。3,4,5は皆さん、無意識のうちに行っていることだと思います。7,10についても発注者・受注者間であったり、事業者・利用者(地元住民)間であったりでマネジメントされていることが多いと思います。特に建設部門-都市及び地方計画で受験される方にとっては身近なところだと思います。

以上のところをおさらいすることで、業務経歴表および業務内容の詳細が書きやすくなる(ネタが浮かびやすくなる)側面もあるのではないでしょうか。

少しでもお役に立てれば幸いです。頑張ってください。

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