今回も、国土交通白書2018 第II部 国土交通行政の動向 国土交通TOPICSを見ていきたいと思います。
06 「住みたい」「買いたい」既存住宅の流通促進既存住宅には、「新築に比べて安い」「実際の住宅を見て検討できる」などという良さがありますが、「不安」「汚い」「分からない」というマイナスイメージが強く既存住宅を選びにくい状況でした。
そこで、国土交通省では、耐震性などの条件を満たし、リフォームなどについての情報提供が行われる既存住宅に対し、国の関与のもとで不動産業者などが加盟する団体が「安心R住宅」のロゴマークを付与できるようにしました。
「安心R住宅」では、ロゴマークを付与するために「安心」「きれい」「分かりやすい」の3つの要件を設けています。
まず、「基礎的な品質があり『安心』」として、昭和56年(1981年)6月以降の耐震基準(いわゆる新耐震基準)や既存住宅売買瑕疵保険の検査基準に適合していることとしています。
次に、「リフォーム工事が実施されていて『きれい』」として、リフォーム工事によって「汚い」イメージが払拭されている(リフォーム工事を実施しない場合は、費用情報を含むリフォーム提案書が付いている)とともに、外装、主たる内装、水廻りの現況の写真を閲覧できることとしています。
最後に、「情報が開示されていて『分かりやすい』」として、検査済証や点検記録などの有無を示した「安心R住宅調査報告書」を不動産業者から入手でき、希望すれば詳細な情報が開示されることとしています。
これらに加え、制度の内容やトラブルについて、事業者団体の相談窓口へ相談することができます。
「安心R住宅」のロゴマークを使用した既存住宅の広告は、平成30年4月から始まります。
既存住宅の健全な流通が促進されると、国民経済の発展にも資することとなり、環境的にも好ましい展開となり、持続可能なまちづくりに寄与することが期待できます。
国が既存住宅の価値を認定することで、個人や事業者が安心して既存住宅の市場取引をすることができます。
以下は余談ですが、ミクロ経済学の視点からも考えてみたいと思います^-^
既存住宅市場はこれまで(既存住宅所有者と購入希望者等との間に)情報の非対称性があり、逆淘汰(逆選択)が生じる状況だったといえます。所定の基準を満たす既存住宅を「安心R住宅」の認定を行うことで、国がこの情報の非対称性を解消し、逆淘汰(逆選択)が生じない健全な市場を育成しようとしているということになりますね。