令和8年度の技術士第二次試験・総合技術監理部門の記述式問題では、「地方創生」がテーマとして出題されました。
問題文では、「地方創生2.0基本構想」などを背景として、人口減少、人手不足、若者・女性の地方離れといった課題だけでなく、インバウンド、リモートワーク、AI・デジタル技術の進展といった社会の変化も示されています。
そのうえで、受験者がよく知る事業や組織を一つ取り上げ、地域のステークホルダーとの連携を含む取組、さらには我が国として取り組むべき施策まで、総合技術監理の視点から俯瞰的に論じることが求められました。
今回のYouTube動画では、この問題全体を俯瞰したうえで、まず「設問1をどのように組み立てるか」を中心に振り返っています。
設問1は「前座」ではない
設問1では、自らが取り上げる事業・組織について、
- 名称・目的・成果物
- 近い将来に地方創生へ貢献する2つの取組
- それぞれが目指すアウトプット
を設定することが求められました。
一見すると比較的書きやすい設問ですが、ここには論文全体を左右する重要なポイントがあります。
なぜなら、ここで設定した「事業・組織」と「2つの取組」が、その後の設問2におけるステークホルダーとの連携、5つの管理、トレードオフ、障害と対応方策へとつながっていくからです。
つまり、設問1は単に問われた事項を埋めるのではなく、設問2・3まで見据えて戦略的に設定する必要があると考えます。
「自分の得意分野」だけで終わらせない
動画では論文骨子の一例として、「地方中核都市A駅周辺都市再生事業」を設定しています。
駅前広場や公共交通結節施設、歩行者空間、複合施設などのハード整備だけではなく、官民連携によるエリアマネジメントまで含めて事業を捉えることで、論文を多面的に展開しやすくしています。
さらに2つの取組として、
取組1:地域資源の活用促進
遊休公有地や空き店舗などを活用し、地域内投資・雇用の創出につなげる。
取組2:公共交通の維持
鉄道、バス、デマンド交通等を駅で結節させ、高齢者等の移動手段の確保や中心市街地へのアクセス向上につなげる。
という異なる切り口を設定しています。
ここでのポイントは、単に「書きやすい取組」を2つ選ぶことではありません。
異なる政策目標や管理分野へ論文を展開できるよう、あえて切り口に幅を持たせることが重要です。
A評価を目指すなら「論文全体の設計図」を先につくる
問題文では、評価に当たり、「考察における視点の広さ」「記述の明確さと論理的なつながり」「論文全体のまとまり」を特に重視すると明記されています。
そのため、書き始めてから考えるのではなく、答案作成前に論文全体を俯瞰しておくことが大切です。
今回の動画では、特に次のポイントを意識しています。
- 実務経験を生かしつつ、論文に多面性を持たせる
- 5つの管理をできるだけバランスよく登場させる
- 管理間のトレードオフと対応方策を意識する
- 設問2・3の取組・施策が同じような切り口にならないようにする
「設問1を書く」のではなく、「論文全体の設計図を設問1でつくる」。
この意識を持つだけでも、総監記述式への向き合い方はかなり変わってくると思います。
動画で詳しく解説しています
令和8年度の試験を受験された方は、
「自分はどのような事業・組織を設定したか」
「2つの取組に十分な幅を持たせられたか」
「設問2・3まで見通して設問1を書けていたか」
を思い出しながら、ぜひ振り返ってみてください。
また、来年度以降に総合技術監理部門を受験される方にとっても、今回の問題は、**総監記述式で求められる「俯瞰」「5つの管理」「トレードオフ」「論文全体の論理的なつながり」**を考えるうえで、よい教材になると思います。
▼YouTube動画はこちら
今後、設問2・設問3についても順次振り返っていきます。



