筆記試験を受験された皆さま、大変お疲れさまでした。
試験が終わった直後は、「しばらく答案のことは考えたくない」という方もいらっしゃると思います。
一方で、試験で何を考え、どのような答案を書いたのか。その記憶が残っているうちに少し振り返っておくことは、今後の口頭試験や次のステップに向けて有意義です。
今回は、令和8年度 技術士第二次試験・建設部門の必須科目Ⅰ-1を題材に、設問2「最も重要と考える技術課題と複数の解決策」について考えてみたいと思います。
建設部門以外の方も、ご自身の答案と照らし合わせながら読んでみてください。
設問2は「設問1からのつながり」が大切
設問2では、設問1で抽出した3つの技術課題のうち、
「最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を示す」
ことが求められました。
ここでまず意識したいのは、設問1と設問2を別々に考えないことです。
設問1で3つの技術課題を抽出し、設問2ではその中から一つを選び、具体的な解決策へと展開していきます。
つまり、
技術課題の抽出 → 最重要課題の選定 → 解決策
という論理的なつながりが大切になります。
設問2だけを見れば立派な解決策が書けていたとしても、それが設問1で示した技術課題と十分につながっていなければ、答案全体としては一貫性が弱くなってしまいます。
なぜ「最重要」なのかを一言で説明する
今回の動画では、設問1の技術課題の一例として、
- 生産性向上
- 安全・安心の向上
- 利用者サービス・レジリエンス向上
という3つの観点から技術課題を整理しています。
そのうえで、設問2では、
「建設生産プロセス全体のDXによる施工・維持管理の効率化」
を最も重要な技術課題として選定する例を取り上げています。
ここでポイントとなるのが、なぜそれを最重要と考えるのかです。
例えば、
「生産性向上を推進することは喫緊の課題であり、他の2つの技術課題にも相乗効果があることから最も重要と考える。」
といった形で、選定理由を端的に示すことができます。
理由は長々と書く必要はありません。
「緊急性が高い」
「他の課題への相乗効果が期待できる」
「中長期的な影響が大きい」
など、3つの中でなぜこれを選んだのかが採点者に伝わる一文を入れておくことが大切です。
解決策は「複数」かつ「多面的」に
続いて、最重要課題に対する解決策を考えます。
今回の動画では、「建設生産プロセス全体のDXによる施工・維持管理の効率化」に対して、次の3つを例として挙げています。
解決策1 BIM/CIMを核としたデータ連携基盤の構築
調査、設計、施工、維持管理の各段階で情報が分断されていると、重複入力や手戻りが発生します。
そこで、BIM/CIMを共通データ基盤として活用し、地形、設計、施工、点検、維持管理などのデータを一元的に管理します。
さらに、デジタルツインなども活用しながら各工程の情報を引き継ぐことで、業務効率化だけでなく、設計・施工品質の向上やライフサイクルコストの縮減につなげることが考えられます。
解決策2 AI・ロボット・ドローンによる施工・点検の自動化
もう一つは、現場作業そのものの省人化・高度化です。
例えば、ドローンによる測量・点検、AI画像解析による変状判定、ICT建機や自動施工機械、ロボット施工などが考えられます。
危険作業や繰り返し作業を自動化することで、人手不足への対応だけでなく、作業時間の短縮、安全性の向上、熟練技能への過度な依存の低減なども期待できます。
解決策3 クラウド・IoTを活用したデータマネジメント体制の整備
新しい技術を導入するだけでは、DXが継続的に機能するとは限りません。
IoTセンサによって施工・維持管理データをリアルタイムに収集し、クラウドを通じて関係機関が情報共有できる環境を整備することも重要です。
併せて、データの標準化やAPI連携、DX人材の育成、ガイドラインの整備などを進めることで、DXを一時的な取組ではなく、組織や業務に定着させていくことができます。
「DXを使うこと」が目的になっていないか?
今回の問題では、AI、ドローン・ロボット、ビッグデータ、IoT、リモートセンシングなど、多くの新技術が問題文に示されています。
こうしたキーワードを見ると、
「AIを活用する」
「BIM/CIMを導入する」
「ドローンを使う」
といったことを書きたくなるかもしれません。
しかし、大切なのはDXそのものを目的にしないことです。
例えば「BIM/CIMを導入する」と書くだけではなく、
何のために導入するのか。
どのように活用するのか。
その結果、どのような効果が期待できるのか。
までつなげて考えてみてください。
今回の問題でいえば、その先には「新技術・DXの活用によるインフラの価値向上」という大きなテーマがあります。
技術はあくまでも手段です。
設問2でも、「新しい技術をたくさん知っていること」を示すのではなく、技術課題を解決するために、新技術をどう使うのかという視点を持つことが重要です。
解決策は「概要+具体例+期待される成果」で整理する
解決策を書こうとすると、どうしてもキーワードの羅列になってしまうことがあります。
そこで、答案練習では一つの解決策について、
①何をするのか(概要)
②具体的にどうするのか(具体例・手段)
③何が改善されるのか(期待される成果)
という流れで整理してみることをおすすめします。
例えば、
「AIを活用する」
だけで終わるのではなく、
「AI画像解析による変状判定を導入し、点検作業を高度化する。これにより点検作業の省人化と異常の早期発見を図る。」
とすれば、課題と解決策、その効果の関係が分かりやすくなります。
また、複数の解決策を考える際には、同じような内容を3つ並べるのではなく、
「利活用シーン」
「目的」
「機能」
「実施主体」
など、切り口を少し変えて考えてみるのもよいでしょう。
設問2は「その次の設問」にもつながっている
設問2で示した解決策は、そこで終わりではありません。
設問3では、
「前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうる懸念事項と、それへの対応策」
が問われています。
つまり、設問2でどのような解決策を書くかによって、設問3の展開も変わってきます。
答案を振り返る際には、
設問1の技術課題
↓
設問2の最重要課題と解決策
↓
設問3の新たな懸念事項と対応策
が一つのストーリーとしてつながっていたか、確認してみてください。
必須科目Ⅰの答案全体を見直すうえでも、有効な振り返りになると思います。
まとめ|「最重要課題→解決策」の論理を振り返ってみよう
設問2を振り返る際には、次のポイントを確認してみてください。
- 設問1で挙げた3つの技術課題から最重要課題を選んでいるか
- なぜ最重要なのかを端的に説明しているか
- 最重要課題の解決につながる具体的な解決策になっているか
- 解決策を2~3つの異なる切り口から示しているか
- 「概要・具体例・期待される成果」まで説明できているか
- DXや新技術そのものが目的になっていないか
筆記試験直後だからこそ、ご自身が実際に書いた答案を思い出しながら確認してみると、さまざまな気づきが得られると思います。
今回のYouTube動画では、令和8年度建設部門・必須科目Ⅰ-1を題材に、最重要課題の選び方や、複数の解決策をどのように展開するかについて、具体例を交えて解説しています。
建設部門の方はもちろん、他部門の方にも共通する考え方がありますので、ぜひご覧ください。
▼YouTube動画はこちら



