【建設部門・必須科目Ⅰ-2】グリーンインフラから考える「技術者倫理」と「社会の持続性」

技術士第二次試験・建設部門の受験者、特に必須科目Ⅰの設問4について「何を書けばよいのか」「倫理と持続性をどう区別すればよいのか」と悩んでいる方を想定しています。

技術士第二次試験の必須科目Ⅰで、意外と悩みやすいのが最後の「設問4」ではないでしょうか。

「技術者倫理については、公益確保や法令遵守を書けばよいのか?」
「社会の持続性とは、環境保全について書けばよいのか?」
「毎回似たような内容になってしまう……」

このように感じている受験者も少なくないと思います。

今回のYouTube動画では、令和8年度・建設部門 必須科目Ⅰ-2のグリーンインフラ(GI)を題材として、設問4の考え方を振り返っています。

ポイントは、単に「倫理を守る」と書くのではなく、技術者倫理と社会の持続性を書き分けたうえで、問題のテーマに即して具体化することです。

設問4は「倫理観を語る問題」ではない

今回の設問4では、設問1~3を「業務として遂行するに当たり」、技術者倫理と社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べることが求められています。

ここで大切なのは、設問4を設問1~3から切り離して考えないことです。

設問1で技術課題を抽出し、設問2で解決策を示し、設問3で将来的な懸念事項と対応策を検討しています。

設問4では、こうした一連の業務を実際に遂行する技術者として、

「何を大切にして判断するのか」
「どのような点に留意して業務を進めるのか」

を示していくことになります。

つまり、抽象的な倫理観を並べるだけではなく、実際の業務にどう反映するのかまで考えることがポイントです。

「技術者倫理」は公衆の安全や公益から考える

まず、「技術者倫理」の観点です。

今回のテーマはグリーンインフラです。

GIは自然の多様な機能を活用することで、防災・減災や環境保全、地域の魅力向上など、さまざまな効果が期待できます。

一方で、自然の機能を活用する以上、その効果には不確実性もあります。

例えば、気候変動によって想定を超える外力が発生した場合、GIだけでは十分な防災効果を確保できない可能性も考えておく必要があります。

そこで技術者としては、GIの効果を過信することなく、必要に応じてグレーインフラと適切に組み合わせながら、公衆の安全を確保することが重要です。

また、GIの効果や限界、不確実性について、科学的根拠に基づいて関係者へ誠実に説明することも求められます。

「公益確保」「説明責任」「環境保全」といった言葉を答案に書くだけではなく、今回のテーマでは、それが具体的にどのような行動につながるのかまで考えてみると、答案に説得力が出てきます。

「社会の持続性」は次世代への継承から考える

もう一つが、「社会の持続性」の観点です。

技術者倫理と重なる部分もありますが、少し視点を変えて考えてみましょう。

GIは、整備して終わりではありません。

自然を活用したインフラは、その機能を長期的に発揮させるための維持管理が必要です。また、地域住民、NPO、企業、行政など、多様な主体が関わりながら継続していく仕組みも重要になります。

そのため、短期的な効果や経済性だけで判断するのではなく、

・将来世代にも自然の恵みを引き継げるか
・地域で継続的に維持管理できるか
・気候変動などの状況変化に対応できるか
・ライフサイクル全体で環境負荷を低減できるか

といった長期的な視点が必要になります。

モニタリングを継続し、その結果に応じて計画や管理方法を見直す「順応的管理」の考え方も重要でしょう。

「今、効率的か」だけではなく、**「次世代へどのような社会や環境を引き継ぐのか」**という時間軸を持つことで、「社会の持続性」の観点がより明確になります。

技術者倫理と社会の持続性を「書き分ける」

設問4を考える際には、この2つを意識的に書き分けてみることをおすすめします。

例えば、

技術者倫理
公衆の安全、公益確保、説明責任、法令遵守、技術者としての職責など、「技術者としてどう判断し、行動するか」という視点。

社会の持続性
環境保全、将来世代への継承、地域社会との共生、資源・エネルギーの効率利用など、「社会を長期的にどう持続させていくか」という視点。

このように整理すると、答案の方向性が見えやすくなります。

もちろん、両者を完全に切り離す必要はありません。実際の業務では相互に関係しています。

大切なのは、同じような内容を繰り返すのではなく、それぞれの観点から何を重視するのかを明確にしたうえで、問題のテーマと結びつけることです。

他の問題でも使える「設問4」の考え方

今回の動画ではGIを題材としていますが、この考え方は他のテーマにも応用できます。

答案を考える際には、

① 技術者倫理の観点から、求められる姿勢を示す
② 社会の持続性の観点から、求められる姿勢を示す
③ それぞれを問題のテーマや設問1~3の内容と結びつけて具体化する

という流れを意識してみてください。

避けたいのは、倫理綱領に出てくる言葉を一般論として並べるだけの答案や、「十分に留意する」といった抽象的な表現だけで終わる答案です。

「このテーマであれば、技術者として具体的に何をするのか?」

ここまで一歩踏み込んで考えることが、設問4をまとめるヒントになるでしょう。

まとめ―「守る」から「引き継ぐ」まで考えてみよう

設問4で意識しておきたいポイントは、次の3つです。

① 技術者倫理と社会の持続性を書き分ける
それぞれで求められている視点を整理します。

② 問題のテーマと結びつける
一般的な倫理論だけで終わらず、今回であればGIに即して具体化します。

③ 「守る」だけでなく「引き継ぐ」視点を持つ
現在の安全や公益だけでなく、将来世代への継承まで視野に入れます。

設問4は、「倫理観について知っていることを書く問題」というよりも、技術者としての姿勢を実際の業務にどう反映するかを示す問題と捉えると考えやすくなります。

今回のYouTube動画では、グリーンインフラを題材に、答案構造や具体的な記述例を交えながら設問4の考え方を詳しく解説しています。

設問4の書き方に迷っている方は、ぜひ動画も併せてご覧ください。