【令和8年度 総監部門】記述式「地方創生」を振り返る③―設問3とA評価を目指す答案づくり

令和8年度の技術士第二次試験・総合技術監理部門の記述式問題では、「地方創生」がテーマとして出題されました。

これまでの記事・動画では、設問1・設問2を中心に振り返ってきました。今回はその続きとして、設問3をどのように捉えればよかったのかを考えていきます。

あわせて、令和8年度の記述式問題全体を振り返りながら、今後の総監部門の受験対策についても整理します。

「本番ではうまく書けなかった」と感じている方も、答案を振り返ることで次につながる気づきが得られると思います。

設問3では「事業・組織」から「我が国」へ視点を広げる

設問1・2では、自分がよく知っている事業や組織を取り上げ、地方創生への取組や地域のステークホルダーとの連携、さらに総合技術監理の視点から障害と対応方策を論じることが求められました。

これに対して設問3では、視点をさらに広げる必要があります。

問題文には、

「事業や組織の枠を超え、我が国として取るべき施策の観点から解答すること」

とあります。

つまり、設問1・2で取り上げた自分の事業の延長線上だけで考えるのではなく、国全体を俯瞰した施策へと視座を引き上げることがポイントです。

総合技術監理部門らしい「俯瞰的な視点」が、より強く問われている設問と考えられます。

2つの施策は、異なる切り口から考えてみる

設問3では、有効と考える我が国としての施策を2つ取り上げます。

答案を考える際には、この2つを同じような施策にするよりも、異なる切り口から設定することを意識してみてください。

例えば今回の動画では、次のような骨子例を紹介しています。

一つ目は、**「都市機能集約と地域公共交通再編の一体支援」**です。

国が立地適正化計画と地域公共交通計画の連携を促進し、都市機能の集約と公共交通の再編を一体的に支援することで、「i.公共交通の維持」というアウトプットにつなげます。

人口減少や運転者不足が進む中でも、都市機能と交通を一体的に考えることで一定の交通需要を確保しやすくなります。また、MaaSやAI需要予測などの活用も考えられます。

一方で、都市機能の集約を進めれば、郊外に住む住民や事業者との利害対立が生じる可能性があります。

そこで、将来人口や交通需要を可視化し、複数のシナリオを関係者で共有するとともに、デマンド交通などの代替サービスを組み合わせて合意形成を図る、といった対応が考えられます。

二つ目は、「産学官金連携による地域経済エコシステム形成」です。

自治体、地域企業、大学・高専、金融機関などの連携基盤を国が支援し、地域資源と人材・資金・技術をマッチングすることで、「e.スタートアップの創出促進」を目指します。

AI・デジタル技術やリモートワークの普及によって、地方でも新しい事業を展開できる可能性は高まっています。

ただし、専門人材の不足や、補助金に依存することによる事業の継続性などが障害となり得ます。

そのため、都市部人材の副業・兼業、地域人材のリスキリング、地域金融や民間投資の活用、KPIを用いたPDCAなどを組み合わせ、自立的な仕組みにしていくことが重要です。

このように、例えば「都市・交通」と「地域経済・人材」という異なる方向から2つの施策を設定すると、論文全体として視野の広さを示しやすくなります。

「有効性」と「実現性」を分けて考える

設問3②では、施策について「有効性と実現性」を記述することが求められています。

ここは意外と重要なポイントです。

「この施策は有効である」と説明するだけでは、設問要求を十分に満たしたことにはなりません。

有効性=その施策によって課題解決やアウトプットの達成が期待できるか

実現性=人材、予算、技術、制度、社会的受容性などを考慮して、実際に実行できるか

と分けて考えると整理しやすくなります。

答案を構成する段階で、それぞれについて理由を考え、「高・中・低」など自分なりに評価してみるのも有効です。

さらに、問題文では今後の政策動向、経済動向、社会情勢の変化、技術革新の進展などの背景も含めることが求められています。

施策だけを単独で論じるのではなく、

背景 → 施策 → アウトプット → 有効性・実現性

というつながりを意識すると、論理的な答案を組み立てやすくなるでしょう。

令和8年度の記述式から考える今後の受験対策

令和8年度の問題を全体として振り返ると、過去2カ年とほぼ同じ出題構成となりました。

そのため、総監部門の記述式は、十分に準備・トレーニングが可能な試験だと考えています。

おすすめしたいのは、社会が抱える課題や国の施策などをテーマにして、実際に論文骨子を作成し、推敲する練習です。

本番でいきなり答案を書き始めるのではなく、まず設問全体を確認し、1時間程度を目安として骨子を検討することも一つの方法です。

その際には、

  • 5つの管理をできるだけバランスよく登場させる
  • 管理間のトレードオフとなる障害を明確にする
  • その障害に対する対応方策まで考える
  • 設問2・3の2つの取組・施策が同じような切り口にならないようにする

といった点をチェックしてみてください。

特に総監部門では、個別の知識をたくさん書くこと以上に、業務全体を俯瞰し、複数の管理分野を踏まえながら全体最適を考える姿勢が大切です。

今回の問題文でも、評価に当たって「考察における視点の広さ」「記述の明確さと論理的なつながり」「論文全体のまとまり」を特に重視することが明記されていました。

この3点は、今後の答案練習でもぜひ意識しておきたいところです。

うまく書けなかった方も、答案を振り返ってみましょう

試験が終わった直後は、「もっとこう書けばよかった」「設問3まで十分に考える時間がなかった」と感じる方も多いと思います。

ただ、総監部門の受験対策という意味では、試験後の振り返りにも大きな価値があります。

自分が書いた内容を思い出しながら、

「5つの管理の方向性を踏まえられていたか」

「管理間のトレードオフを示せていたか」

「障害だけでなく対応方策まで論理的につなげられていたか」

「事業・組織の視点から、我が国全体を俯瞰する視点へ広げられていたか」

を確認してみてください。

今回うまく書けなかった部分があったとしても、それを具体的に言語化できれば、次の答案作成力につながります。

総監部門の記述式は、事前に骨子作成・推敲を繰り返すことで、着実に対応力を高めていくことができます。

まずは今回の問題を一つの良い教材として、自分ならどのような骨子を組み立てるか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

今回ご紹介した設問3の論文骨子例や、令和8年度記述式全体の振り返りについては、YouTube動画でも詳しく解説しています。

動画では具体的な骨子を示しながら説明していますので、ぜひ答案の振り返りや今後の受験対策にお役立てください。